「高反発マットレスが自分の体に合うと思って購入後、翌朝の腰痛が悪化した」
「低反発マットレスが合わず高反発に変えたが、さらに合わない気がする」
こんな経験をすると、自分の体には結局どっちのマットレスがいいのか迷走することに。
そこで、本ページでは整骨院の現役院長でさまざまなマットレスを調査・評価してきたわたくしが、実際に受けた相談内容なども元に、高反発と低反発マットレスの選び方をくわしく解説させていただきます。
マットレス選びに迷走中の人はとくに最後までご覧ください。

- 現整骨院院長(ゆらぎ整骨院)
- メディカルフィットネス施設勤務経験
- 15年以上整体&睡眠改善相談を行う
高反発・低反発の選び方の違い
どちらが自分に合っているかわからない人は、まず以下4つの項目を重視して、高反発・低反発マットレスのどっちがいいかを判断してみることを強くおすすめします。
- 硬さ
- 反発力
- 通気性
- 寝方
硬さの違い&選び方

それぞれの硬さは、以下の違い&特徴をふまえたうえで、どちらがよいのかを選んでみましょう。
高反発 | ・硬さはしっかりめ ・眠っているときの姿勢が安定しやすい ・110N(ニュートン)以上の製品が多い※) |
低反発 | ・ふわふわ柔らかく包まれる感覚 ・眠っているときの姿勢が安定しにくい ・およそ100N未満の製品が多い※) |
マットレスの硬さは人によって好みがわかれます。
自分が好きな硬さのマットレスを選ぶことは、眠りの質を向上させるためにも大切なポイントです。
ただし、それ以上に大切なポイントも。
それが「眠っているときの姿勢がしっかりと安定すること」です。
高反発マットレスは、しっかりとした硬さで、眠っているときの姿勢が安定して乱れにくいメリットがある一方で、低反発マットレスは柔らかい素材がゆえに、眠っているときの姿勢安定しづらく乱れやすいデメリットがあります。
よほど低反発マットレスでなければ眠れないという事情がないかぎりは、高反発マットレスがベストな選択です。ただし、硬さといっても数値だけでは計れない部分があり、わたしの整骨院の来院者さんにお願いした検証結果では、154Nのソムレスタが、170Nのマニフレックスよりも硬いと感じる人が多いアンケート結果も出ています。
マットレス名 | 比較評価平均 | 硬さ |
---|---|---|
マニフレックス | 2.7 | 170N |
モットン | 3.2 | 170N |
ソムレスタ | 3.1 | 154N |
エムリリー | 1.0 | 優反発 |
反発力の違い&選び方

それぞれの反発力は、以下の違い&特徴をふまえたうえで、どちらがよいのかを選んでみましょう。
高反発 | ・反発力は高く弾力性を感じる ・少し~かなり硬い ・寝返りが抜群にうちやすい |
低反発 | ・反発力が低く少し沈む感覚 ・柔らかい~やや硬い ・寝返りがうちづらい |
高反発マットレスは、寝返りをうつときに高い反発力で補助してくれるため、寝返りをがうちやすくなります。
ただし、寝心地が少し~かなり硬いと感じる点と、反発力が高すぎると少し動くたびに過度な反発力で体が動いてしまうため、落ち着かないと感じる人も少なくありません。(ホテルのベッドが少し落ち着かない感覚に似ている)
一方、低反発マットレスは、寝返りをうつときの支点が安定せず力が伝わりづらいため、寝返りがうちづらくなります。
ただし、寝心地は柔らかめで心地よさを感じる点をおおきなメリットだと感じる人は少なくありません。
質の高い睡眠のためには寝返りは必要不可欠です。とくに、筋力の弱い女性や高齢者には寝返りがしやすい高反発マットレスをおすすめします。
ちなみにわたしの整骨院で行ったアンケート検証は「モットン」が群をぬいて寝返りがうちやすい結果になりました。
マットレス名 | 評価 | 厚さ |
---|---|---|
マニフレックス | 2.2 | 16cm |
モットン | 3.5 | 10cm |
ソムレスタ | 2.2 | 10cm |
エムリリー | 2.1 | 11cm |
ただし、どうしても高反発の寝心地では硬くて眠れない人には、寝心地は柔らかめで高反発素材を使用した2層構造マットレスがおすすめです。くわしくは代表的な「エムリリー」の特集ページをご覧ください。
通気性の違い&選び方

それぞれの通気性は、以下の違い&特徴をふまえたうえで、どちらがよいのかを選んでみましょう。
高反発 | ほどよく熱の逃げ道があるため通気性が良い。 |
低反発 | 体が過度にフィットするため熱の逃げ道がなく通気性が悪い。 |
高反発マットレスでは、体のすべてがマットレスにフィットしているわけではなく適度にフィットしていない部分があるため熱がこもりづらくなります。
一方で、低反発マットレスは、体のすべてがフィットするため熱がこもりやすくなります。
良い眠りを得るためには就寝中の「深部体温を下げる」ことが大切です。近年では通気性が悪いと言われ続けてきたウレタン素材も通気性が高い商品が続々発売されています。
それでも、物理的なフィット面積の大きさが通気性に左右することは間違いありません。
冷え性の人などは一見低反発マットレスに惹かれがちですが、眠りの質も冷えに関係してきます。したがって基本的には高反発マットレスをおすすめします。
寝方の違い&選び方
それぞれの反発力は、寝方の違いでどちらがよいのかを選んでみましょう。
高反発 | 仰向け寝に適している。 お尻が沈みこまず安定性が高い睡眠姿勢を維持できる。 |
低反発 | 横向き寝に適している。 肩への圧迫感がなく楽だが睡眠姿勢の維持には向かない。 |
高反発マットレスは、安定した硬さと高い反発力で、仰向け寝に適しています。しかし横向き寝では、肩への圧迫を感じる人も多く、枕との相性も寝心地に大きな影響をおよぼすというデメリットがあります。
一方、低反発マットレスは、柔らかな寝心地と優しい反発力で、横向き寝に適しています。しかし、睡眠姿勢の維持には向かず、お尻が沈みこみやすく翌朝の腰痛などの不調につながりやすいというデメリットがあります。
本来、寝ているときは寝返りをうって、仰向けでも横向きでも眠らなければなりません。高反発と低反発で、向いている寝方はありますが、就寝中にひとつの寝方だけで寝返りをうたずに寝ることは避けるべきです。つまり、重視すべきポイントは寝方ではなく寝返りのうちやすさとなるため高反発がおすすめのマットレスとなります。
低反発は意味がない?どんな人に向いているの?
ここまでの紹介をご覧いただくと、結局ほどんど高反発推しで「低反発を買っても意味がない?」と感じる人もいるでしょう。
ただし、以下のような人は、高反発ではなく低反発マットレスを選んだ方がよいケースもあります。
- 痩せ型・細身の女性(40㎏以下)
- 腰の疾患持ちの高齢者
痩せ型・細身の女性
体重40㎏以下、またはBMI※)が18.5以下の女性は、低反発マットレスがおすすめです。
※)BMI=「身長(m)×身長(m)」÷体重(㎏)
BMI | 判定 |
---|---|
<18.5 | 低体重 |
18.5≤BMI<25.0 | 普通体重 |
18.5≤BMI<25.0 | 肥満(1度) |
18.5≤BMI<25.0 | 肥満(2度) |
18.5≤BMI<25.0 | 肥満(3度) |
40.0<BMI | 肥満(4度) |
参照:肥満と健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
ただし、寝返りをうつことも重視しなければならないため、表面は柔らかくても、芯の部分は反発力の高い二層構造のものがおすすめです。
特集:低反発と高反発マットレスのいいとこどり「エムリリー」とは
腰の疾患持ちの高齢者
代表的な疾患でいえば「腰椎圧迫骨折」です。
腰が曲がってしまい、背中や尾骨がマットレスにあたって痛いという高齢者には低反発の優しい素材がおすすめです。
ただし、安い低反発はとにかく通気性に問題があるというデメリットも。最近のウレタン系素材は、企業努力で通気性の良いものも開発されているため、あまりにも安価な無名ブランドの低反発マットレスは避けて信頼のおけるメーカー品を買うようにしましょう。
【相談別】高反発と低反発のどっちがいいかを解説

では、わたしが実際に来院者さんから相談を受けたなかでも、とくに多い内容をいくつかピックアップして事例として回答していきます。
「朝、腰が痛い」どちらがおすすめ?
高反発マットレスです。
朝起きたときに腰が痛くなる原因のひとつに、眠っているときの姿勢&寝返り不足があります。
寝ているときは姿勢を安定させながら、適度に寝返りをうつことが大切です。しかし、低反発の場合、姿勢が安定せずに体がフィットし過ぎることで、寝返りをうちづらくなってしまいます。
多少「自分には合わないなぁ」と感じても、眠っているときの姿勢が安定して、寝返りがうちやすい高反発のほうが朝の腰痛対策には有効です。
「猫背に悩み中」どちらがおすすめ?
高反発マットレスです。
眠っているさいの姿勢は、猫背をはじめとした不良姿勢の原因になります。
高反発は、硬さ・安定性の面からみても眠っているさいの姿勢の保持にはおすすめです。
ただし、猫背をはじめとした不良姿勢を本気で何とかしたいのであればマットレスを見直すだけでは意味がありません。
日頃の姿勢・体の使い方・椅子の座り方など気をつけなければならないことは山ほどあります。
子どもにおすすめは?
どちらでもOKです。
ただし、熱がうまく放散できないものはNG。通気性がよくない素材のものや、体にフィットし過ぎるものはおすすめできません。
入院ベッドで使われているのは?
どちらも使用されています。
「入院中に使用していたマットレスがよかった」と口にする人は少なくありません。
ただし、入院中に使用されているマットレスは病院ごとで異なるうえに症状や状態によっても異なります。
一般的には、硬めのマットレスが使用される場合が多いですが、支援が必要な場合は褥瘡予防の観点から低反発が使用される場合もあるため一概にはお伝えできません。
「夫婦で意見が分かれている」どちらに合わせるべき?
高反発マットレスに合わせるべきです。
ここまでの解説をご覧いただければわかるとおり、高反発の方が多くのメリットがあります。
それでもお互いの意見が分かれている場合は、別々で寝るという選択肢がおすすめです。
正直なところ、ふたりで寝るよりも、ひとりで寝る方が、寝返りが自由にうてる点や不要に起こされる心配がない分眠りの質は高くなります。
そのため思いきって「別々に寝ようよ」と提案してみても良いかもしれません。
枕はどちらがおすすめ?反発力を合わせるべき?
基高反発ですが、サイズを重視がおすすめで、反発力を合わせる必要はありません。
枕も基本は高反発をおすすめします。ただし、なるべくサイズが大きく肩や背中まで支えてくれる枕を選ぶようにしましょう。寝返りのことを考えて横幅もワイド設計の枕がおすすめです。
また、低反発マットレスを使用しているからといって、枕も同じものを使用する必要はありません。
高反発マットレスでよくある勘違い
高反発と低反発マットレスは、さまざまなブログ・レビューサイトが紹介をしています。
しかし、なかにはよくある勘違いをしてしまっているものも。
そこで、以下ではいくつかピックアップしてよくある勘違いを正していきたいと思います。
腰痛が改善する

高反発マットレスで眠ると腰痛がよくなるって聞きました!
ホントですか??



マットレスだけで腰痛がよくなれば医者も、我々柔整師も仕事がなくなっちゃいます(汗)
でも、マットレスを含めた寝具が大事であることも事実ですよ。
高反発だけで腰の悩みが解消するわけではありませんが、理想的な寝具を使用することは大切ですね。



いや、、でも朝起きて腰が痛いのはマットレスのせいでしょ?
だったら、良いマットレスに買い替えたら腰が良くなるのでは?



朝起きたときの腰の痛みは、一概にマットレスだけのせいとも言えないんですよ。
生活リズムが悪くなることや、眠る前にブルーライトを浴びすぎたりすることで眠りの質が下がってしまい、朝の腰痛につながることもあるんです。



色々と見直すことが多くて大変そうですね…。
でも、できることからやってみます!
翌朝、体が痛くなったから自分に合わない



高反発マットレスに変えた翌朝に体が痛くなったんです!
これって自分に合っていないってことですよね?



よくある認識ですが、まったくそんなことはありませんよ。
まず、これまで使用していたマットレスよりも硬いマットレスの場合、翌朝に痛みがでることはよくあることです。ただし、これはあくまでも今まで違う硬さによる反応で、筋肉痛みたいなものです。



でも、良いマットレスは体に良いんでしょ?
痛みがでるっておかしくないですか?



人は良くも悪くも現状の体を維持しようとします。そのため、いつもと違う環境にさらされると拒否反応を示してしまうのです。フカフカのソファーよりも硬いソファーの方が体に良いのに、普段フカフカのソファーに座っている人が硬いソファーに座ると腰やお尻が痛くなるのと同じ反応と言えます。



なるほど。
じゃあ、しばらく寝てみないとわからないってことですね!
腰が浮くマットレスはダメ



高反発でも腰が浮いちゃうマットレスはダメって聞きました!



実は、腰が浮くこと自体はさほど問題ではありません。
だって、背骨はまっすぐではなく軽くカーブをしているので、腰の部分は寝たときに浮くのが当たりまえですから。



いや、、だからこそ浮いた部分にマットレスがフィットする方が良いんでしょ?(この人大丈夫かな…)



その考えもあります。
ただし、体のすべてにマットレスをあてがうことが本当に体のためになるのでしょうか?わたしは過保護すぎると思います。
現代は、体への負担を軽減するものばかりで、結果それが弱い体を生んでいる気もするんです。
今回の質問でいえば、腰が浮くことは問題ではなく、お尻や背中などの接地面の圧が強い部分の緩衝に目を向けて欲しいですね。
よく使われる言葉でいうと「体圧分散」です。



体圧分散ってよく聞きますよね!
つまり、圧が掛かりやすい部分に負担を掛けないことが大切なんですね!
整骨院で日々検証をしています


体の不調と眠りは切っても切り離せないほどの関係です。
みなさまのお悩みが少しでも解消されるように、わたしも整骨院で日々施術を行いながら、眠りについての検証・勉強をしてお伝えさせていただいております。
頭痛、腰痛、肩こり、首こり、膝痛。なにをとっても、眠りを含めた日常生活の問題点を解消することで快方へと向かう可能性が高くなります。
そんなお悩みの解消に、わたしの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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